在校生スペシャルインタビュー 調理師本科:安川 真揮さん
「ジョエル・ロブション」
元シェフパティシエ。
料理の基礎を徹底的に
学ぶために服部にきました。

安川 真揮さん
【2024年4月:調理師本科(昼1年)入学】
1985年生まれ。高校生の頃、洋菓子店を舞台にしたドラマを見たことがきっかけでパティシエを目指し、そのドラマ監修の専門学校(エコール辻東京)へ進学。
卒業後、数々の有名ホテルや星付きレストランを経て、2019年より恵比寿の「ガストロノミージョエル・ロブション」のシェフパティシエを務める。新しいことへの挑戦のため、輝かしいキャリアを中断し学び直しを決意。服部栄養専門学校に入学し、西洋料理・日本料理・中華、製菓の基礎から学ぶ。
社会人入学の安川さんの経歴をお聞かせください。
高校生の頃洋菓子店を舞台にしたドラマを見たことがきっかけでパティシエを目指しました。パティシエという仕事はこんなに人を幸せにすることができるのだと感動し、そのドラマ監修の専門学校(エコール 辻 東京)への進学を決めました。
実家が洋食店をやっていて父が料理もお菓子も作っていたこともきっかけの1つです。
卒業後は、六本木の「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」に就職。その後、数々の有名ホテルや星付きレストラン、フランス・パリの「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」などを経て、2019年より恵比寿の「ガストロノミー ジョエル・ロブション」のシェフパティシエを務めました。

ジョエル・ロブションのシェフパティシエとして活躍されていたにも関わらず、あらためて学び直そうと思ったのはなぜですか?
もともと兄弟でお店をやりたいと思っていました。弟は料理人で現在はフランスでもう十年以上働いています。自分の年齢と経験値を考えそろそろお店をやりたいと考えていたのですが、弟は当分日本に帰ってくるつもりがないようなので自身で調理の知識を身につけお店をやってみようと思い、あらためて調理専門学校で学ぶことにしたという経緯です。
私はパティシエとして経験を積んできましたが、ケーキ屋さんやデセール専門店をやるつもりはなく、レストランやビストロのような形態で美味しい料理とデセールを提供できるお店をやりたいと思っています。
誰か他の料理人の人と一緒にということも考えたのですが、その人がもし辞めたらまた新しい人を探さなければなりません。現場で働いていたときに感じていた昨今の人材不足を考慮すると、自分自身が出来るようになることがもっとも確実であり、納得もできるのではないかと思いました。
もちろん自分1人でお店をやれるわけではありませんが、いざというときに自分でできることを増やしておけば心強い。リスクヘッジの目的もありました。

社会人としてのキャリアを中断しての入学に迷いはありませんでしたか?
自分では新しいことに挑戦することに魅力を感じたので迷いはありませんでした。
日本では学び直しが推奨されており、実際に社会人の方がキャリアアップや転職、資格取得のために働きながら又は一旦仕事を辞めてなどして学校に通われたりしています。長い人生の中で将来を考えたときにそういった時間があっても良いのではないかと考えました。
正直周囲の同世代は、なんでそんなことをするのかと言う人もいました。
ですが仕事を辞めて料理の専門学校に行きますと上司や元上司、先輩方に報告すると肯定的な意見をいただくことの方が多かったので自信になりました。

専門学校ではなくレストランの調理場で学ぶこともできたのでは?
はい、それも考えました。実際に今まで働いたレストランでパティシエ業務以外にも簡単な料理の仕込みや盛り付けなどをやっていたこともあったので、学校に行かなくても現場で習得できることも確かにあると思います。
しかし、料理に関する調理用語や食材の名前など基本的なことで分からないことも多々ありました。まかないを作ったこともありますが数人分の量となると手際良く作ることができませんでした。
その経験から、いきなり調理場に入るよりも潔くお金を払って学校に行き、分からなかったりできなかったりしても教えてもらえる環境で1年間しっかり勉強して基礎を身につけてからの方が、実際にレストランの調理場で働く際により理解が深まり成長が早いだろうと思いました。

専門学校を選ぶ際に服部を選んだ理由は何ですか?
母校の辻調を含め数校検討しました。それぞれ学校見学やオープンキャンパスに参加し、服部の先生方の教え方や距離の近さが他にない魅力だと感じました。創立から何十年もたっているのに学校内が綺麗なことにも驚きました。
都心のアクセスの良さと教育訓練給付金が使える点も、学校選びの大きなポイントでした。
また、実体験として服部卒業生と職場で出会う機会が何度かあり、皆さん仕事ぶりがしっかりしておりその人たちが作るまかないが美味しかったことも服部を選んだ理由です。

10代の同級生に対して戸惑いはありましたか?
入学するまでは、約20歳年が離れた現役の学生たちといっしょに勉強するというのは正直不安もありました。しかし一緒に学ぶ中で現在の若い子の感覚を知ることができ、自分の若い頃を思い返して共感できるところや異なるところが客観視できました。
社会人を20年経験した現在の自分の感覚からしたら、高校を卒業したばかりのクラスメイトはとても幼く見えますが、実際にお店に入ってくる新卒はこの世代の人たちです。
クラスメイトという関係性で接することで彼らのことを多少なりとも理解出来たので、今後仕事をする上での若いスタッフに対しての接し方に活かせたらいいなと思っています。
これは学校に通わなければ分からなかったことで、思わぬ収穫だったと思います。
授業の内容はいかがですか?
座学ではウイルスや菌、食中毒といった衛生面のことや食材の成分や栄養、アレルギーのことを改めて学び、我々はただ美味しいだけではなく確かな知識を持って安心・安全なものをお客様に提供しなければならないと再認識しています。
実習では西洋料理・日本料理・中華、製菓の基礎から学びことができ、それぞれの特徴や調理法を知ることで食材を美味しくする方法は本当に様々だと感じています。例えば西洋料理ではクラシックなフランス料理の良さも学べるし、伝統と革新が融合し常に進化し続ける現代風フランス料理を学ぶこともできます。
中華では家庭での作り方と全然違う手順を知り、そのおいしさに驚きました。
包丁の扱い方ひとつとっても分野ごとに違うので初めて知ることも多く、本当に通って良かったと思います。

服部で学んだことをどのように活かしていきたいですか?卒業後の目標についてお聞かせください。
卒業後はレストランで数年働き、料理のスキル向上を最優先に研鑽を積みたいと考えています。
もちろんパティシエとしてもまだまだ成長したいですが、料理人としてのスキルや感覚を磨くことでデセールにも良い影響が現れると思っています。
そしていずれはお店を開き、安心・安全な美味しい料理とデセールを提供し、ご来店頂けるお客様の人生がより豊かなものになってくれたら料理人(パティシエ)冥利に尽きると思います。
これから服部に入学する学生に対してメッセージをお願いします。
飲食業界で多数のお店を経験してきた自分が見ても、服部の設備はすごいと思います。プロが使う機材がしっかり揃っていて、ここで学べば卒業してからもそれぞれの就職先で対応するのに時間はかからないと思います。
その環境の質の高さは創設以来延々と受け継がれてきたものだと思いますが、一方最新の技術や機材も取り入れています。伝統と革新の両方を兼ね備えているところが服部の他に類を見ない素晴らしさだと思います。
専門学校の学生は、社会人より大変な部分もあると思います。月曜から金曜までしっかり授業があり、放課後や土日にアルバイトをしていれば休む暇がない。それでも熱意を持って真剣に取り組めばそれは必ず将来につながります。ここでは、さまざまな年齢やキャリアの人が同じ志をもって学んでいます。
大変なこともありますが、料理やお菓子を通して誰かに喜んでもらえることは我々料理人、パティシエにとって大きなやりがいであり喜びです。素晴らしい職業だと思うので、ぜひ頑張って良い料理人、パティシエになってください。