卒業生の声 チョン・ヘランさん
Graduate's Voice
真心を込めて健康的な料理を披露する
たまご食堂
代表・シェフ
チョン・ヘランさん
調理師本科(昼1年)/2017年卒業
快適な環境で良質な教育を。実戦に強い料理人を育成する服部栄養専門学校(以下「服部」)。日本食に愛情を注ぎながら日本で留学時代を過ごし、ソウルの金湖洞(クムホドン)でたまご食堂をチョン・ヘランさんは運営している。2023年11月にオープンした「たまご食堂」は、韓国の旬の食材で正統な日本食を再解釈した「ジャパニーズダイニング」を披露している。2017 年に調理師本科を卒業後、食堂をオープンするまで、服部の教えが大きく役立ったというチョン・ヘランさんに会って話を交わした。
日本で学び帰国後に独立開業
その想いと経緯を明かす
2023年11月にオープンした「たまご食堂」を紹介してください。
「たまご食堂」は、正統な日本食を韓国産の旬食材で再解釈してお届けするジャパニーズダイニングです。当店はおまかせのいろいろなコース料理を単品メニューでも出しています。お客様が食べたいメニューだけを選んで食べられますが、その分丁寧で高い満足度を得られるメニューで構成しています。
また、日本で料理の勉強をして韓国に帰国したあと、歴史が深く美味しい日本の酒が韓国には紹介されていない点がとても残念でした。そのため、日本の美味しい酒をリーズナブルな価格で食事と一緒にペアリングできるようにしています。
店名の由来には
真心を込めた料理への想いあり
食堂の名前が可愛くて独特ですが、「たまご食堂」という店名にした過程を教えてください。
私の名前が「ヘラン」で、幼い頃からのあだ名がたまご(ケラン)でした(笑)。服部に通っていたときも、友だちからたまごさんと呼ばれていました。韓国に帰ってきて、家に6人用の食卓をひとつ置いて「たまかせ」と呼んで友だちに料理を作っていました。それが「たまご食堂」の始まりです。友だちに心を込めて料理を振る舞ったように、お客様に真心を込めた料理を提供したいという気持ちで「たまご食堂」と名付けました。
優しさと日本文化を溶け込ませ
満足度の高い料理を提供したかった
「丁寧な料理」「満足度の高い料理」と評価が高いようですが、ジャパニーズダイニングを選んだ理由は?
一度来店したお客様が噂を広めてくれたり、また来てくれたりする人が多いようです。私の料理の味に気づいてくれる人たちに、感謝の気持ちでいっぱいです。ジャパニーズダイニングを選んだのは、満足度の高い料理を提供したかったことが大きな理由になります。留学生活で感じた人々の優しさと日本文化を店に溶け込ませ、自然と真心を込めた料理を提供したいという想いが大きくなっていきました。 材料にもこだわっていて、旬の食材だけでなく、海産物の場合は毎日釜山(プサン)から空輸して使っています。
ストレスを抱えていたときの行動で
自身と料理の相性に気づく
料理を始めた時期とそのきっかけは?
私は料理を勉強する前に、モデルの仕事を長くしていました。そのうち体調を崩し、健康で美味しい食べ物の大切さを感じたのです。モデルという仕事の寿命には限界がありますが、料理という仕事は好きな人たちに、美味しいものを一生作ってあげられると思いました。ある日、たくさんのストレスを感じていて、自分でも知らないうちにひとりでキムチを漬けていました。このときに自身と料理との相性に気づかされました。母が料理上手で、小さい頃から料理が身近であったことも理由のひとつです。
「美味しかった」
それが日本料理を学びたい理由に
日本留学を決心した理由と服部栄養専門学校を選んだ理由は?
日本旅行で食べたものがとても美味しかったのです。それから絶対に日本食を学びたいと思っていました。服部を選んだ理由は、都内で歴史が深く、カリキュラムが細分化されていると思ったからでした。特に先輩たち、同級生たちの仲が良く、卒業後に私が料理をする上でも大きな助けになると思いました。
身をもって学んだ役立つ知識
すべてが興味深く楽しく勉強できた
在学中で記憶に残っている瞬間や授業はありますか?
授業中に包丁を研いでいて、手を切った覚えがあります。血が止まらなくて病院に行って治療しました。 担任の先生が包丁で切ったら慌てずに材料の中に落ちた皮膚をくっつけて病院に行くようにと話していましたが、その話を聞いたときは特に深く考えていませんでした。でも、いざ包丁で切って血が止まらなかったとき、すごく慌てた記憶があります(笑)。授業は全般的にすべて興味深かったのですが、当時は専門的な料理が初めてでした。なので、マスターコースや世界料理など特別な授業もすべて受講し、楽しく勉強をした記憶があります。
実際の食堂運営をとおして
マナー授業が役立っていると実感
食堂を経営するなか役に立った教えは?
まず、食材を大切に扱う心構えを学びました。また、さまざまなサービスやマナーの授業が役に立っています。ワイングラスでの接客サービス授業、お客様への対応方法など、実際に食堂を運営して、マナー授業が役に立っていると実感しています。
ホームシックを乗り越えた
5年間の留学生活
留学生活で大変だった点は?
私の性格が日本とよく合っていたので特に大変だった点はありませんが、留学生によくあるホームシックが少し大変でした。服部を卒業後には他の学校にも通いましたし、語学研修を含めると5年間にわたって留学生活をしていました。その期間は、韓国にいる家族とあまり会えなかったことが大変でした。
両親にも提供できる料理の提供
それが私の最大の料理哲学
今後、必ず守りたい料理哲学はありますか?
「両親が来ても提供できる料理をお客様に出そう」というのが私の最大の料理哲学です。また、利益が少し落ちても、料理のクオリティを落とさないことが本当に大切だと思います。
料理人の専門性と個性を生かしたい
そのためのコミュニティ作り
これからの夢や目標は?
料理に対する愛情で勉強を始めましたが、料理というコンテンツで事業をしたいという気持ちもありました。自分が望む料理ができる料理人もいますが、それができない料理人も多くいると思います。大勢で集まってソースを開発したり、それぞれの専門性と個性を生かせる事業をしていきたいです。そうすることで、料理人がもっと楽しく好きな料理ができる環境を作れると思っていて、それが私の最終目標です。服部の同窓会にも参加していますが、そういった交流などからゆっくりとコミュニティを作っています。一緒にボランティア活動をしたり、服部の留学生たちが韓国に帰ってきたときに、さまざまな事業支援ができるコミュニティを作るのが私の夢です。
心も重要な材料のひとつ
素敵な気持ちで料理を
最後に、服部への進学を目指す後輩たちに一言お願いします!
悪い気持ちで料理をしてはいけないと服部で学びましたが、同じ食材でも、シェフの心によって味が変わることを、ぜひ知っていただきたいです。心も料理の重要な材料のひとつです。素敵な気持ちで料理をしてほしいです。