卒業生の声 水本 亜有美さん
Graduate's Voice
さまざまな場所で必要とされている食の知識と技能。食の面で海上自衛隊を支えています。
海上自衛隊 教育隊
水本 亜有美さん
栄養士科(昼2年)/2019年卒業
栄養士を目指したきっかけは何ですか?
子どものころから祖母が作るごはんが大好きで、将来は料理に関係することをやってみたいとずっと思っていました。その思いから高校は普通科ではなく料理のことを学べる家政科がある高校へ進学。
高校で、食の知識がどのように社会に生かされているのかを具体的に理解していきました。たとえば介護施設や保育園での食事などで、食で人を元気にすることができる仕事がしたいと強く思ったのはこの頃です。
管理栄養士の資格を持つ高校の恩師に勧められ、卒業後は栄養士の資格が取得できる専門学校へ進学することにしました。
服部を選んだ理由は何ですか?
たくさんありますが、もっとも大きな理由は「調理ができる栄養士」というところです。栄養士科でも講師の先生から実習で直接教えていただけるのがポイントでした。その先生方も一流シェフ揃い。外部講師の特別授業や、カラーコーディネーターなどキャリアデザインの授業、施設がきれいで器具が揃っていて、その他さまざまな体験が用意されていているところに魅力を感じました。
オープンキャンパスも2回行きました。調理実習体験で講師の助手をしていたのが在校生だったのですが、学生でありながら立派な立ち居振る舞いで先生かと思うほどで(笑)。こんなふうになりたいなと憧れました。
他校や短大も検討しましたが、在籍講師の数、質、カリキュラム、設備、すべてにおいて服部が一番だと確信し、入学を決めました。
服部での出来事で思い出に残っていることは?
私のクラスは先生や生徒同士がとても仲がよくて、授業も実習もイベントも何をするのも楽しかったです。小、中、高、専門、どの学校時代が楽しかったかと聞かれたら間違いなく専門学校と答えます!(笑)
1クラス40名、その中には40代50代の人も数名いて、人生の先輩として勉強以外のさまざまなアドバイスをいただくことができたこともありがたかったです。クラスメート全員、同じ教室で学んでいくうちに親しくなっていきました。
先生や同級生のみんなとは卒業した今でもLINEでつながっています。
海上自衛隊に就職した理由、経緯をお聞かせください。
就職活動をはじめた当初は介護施設や保育園の集団給食現場を考えていましたが、学校の就職説明会で自衛隊にも栄養士の仕事があることを知りました。
陸上自衛隊の隊員のプレゼンで、艦艇で活躍する女性の姿がプロジェクターに映し出され、その瞬間に惹きつけられました。栄養士として、このような職場もあるのかと気付かされました。
実は祖父が陸上自衛隊出身で、戦車に乗っていた経験などの話をよく聞いていたため、子ども心に自衛隊に対する親近感はありました。しかし、女性が簡単に入れるものではないし、食の仕事で接点があるとは思っていなかったので、この説明会は大きな転機になりました。
海上自衛隊でのお仕事内容を教えてください。
入隊して教育期間を終えた後、部隊配属で護衛艦「いずも」に乗艦しました。約1年半、国内の各地をまわりながら乗員約600人分の調理に従事しました。艦艇での勤務を終えると術科学校に入校することになります。そこで食に関する知識及び技能を学びます。
海上自衛隊では、このように部隊勤務の経験から、教育のカリキュラムが組まれており、段階的に勤務地を希望することができるので、将来設計(ライフワークバランス)を考慮しつつ、働くことができます。
私は入隊5年目の既婚者ですが、今後の出産・育児等を見据えて艦艇ではなく基地等の勤務を希望したことで、現在は横須賀教育隊補給科給食係員として勤務しています。
どのようなときにやりがいを感じますか?また大変だと思うことは?
海上自衛隊員は本当に食欲旺盛です。いただきます!と元気よくたくさん食べてくれることがやっぱり嬉しいですね。艦艇での配食はビュッフェスタイルで、用意した料理があっという間になくなって、慌てて作り足すこともありましたが、隊員が喜んでくれている手応えを日々感じています。
横須賀教育隊は新入隊員が入ってくる教育の施設なので、食事を通じて健康と活力を与えてあげたいと思っています。隊員たちの縁の下の力持ち的存在として部隊を支えていることが私の仕事であり、やりがいです。
現在は、部下指導を行う立場なので責任を感じますが、若い隊員の成長を見ることも新たなやりがいになっています。
自衛隊に就職して良かったと思うことは何ですか?
福利厚生の良さです。一般企業の会社員である父に聞くと、自衛隊ほど手厚いサポートは普通の会社にはなかなかないと言っていました。
子供がいる先輩は、フレックスタイム制を活用し勤務時間を調整して仕事と育児を両立させています。プライベートに配慮が行き届いた体制で、隊員はその制度を十分活用することができると思います。生涯を通して女性が活躍できることを先輩隊員が証明してくれているので、私も安心して働くことができます。
服部での学びが今の仕事に生かされていると思うことはありますか?
はい、いろんな場面でそれは感じます。
例えば、日々の献立説明や人前で発言するときなど、服部で行った様々な発表を経験したことが生かされています。また、調理作業では、時間と手順を決めて各担当別で行います。これは調理実習で何度もやったことで、服部で経験ができて良かったです。先生に褒められ自信が付いたことで、今でも向上心をもって自学自習に取り組める姿勢を身に付けることができました。
同じクラスの3人チームで『食と匂いについて』の研究をおこない卒業論文にまとめて発表し銀賞を獲得しました。それも懐かしい思い出です。
これから料理を志す学生に対してメッセージをお願いします。
食の知識と技能は、社会のあらゆるところで必要とされています。自分で決めた目標設定にこだわらずに、柔軟に視野を広げることが大事だと思います。
私の場合、入学時の目標は栄養士の資格を取得して介護施設で働くことでした。しかし、学んでいくうちにさまざまな出会いがあり、気付きがありました。いろんな人とのご縁に導かれて海上自衛隊にたどり着いたことに、後悔は一切ありません。
最初の目標とは違う方向でも、可能性が広がっていると思うなら飛び込んでみてください。同級生に、帝国ホテルに就職したあと辞めてキッチンカーで開業した友人もいます。
大事なのは知識と経験を活用して、生き生きと輝くこと。皆さんがさまざまな働き方で食の世界で活躍していくことを応援しています!