卒業生の声 高橋 淳一さん
Graduate's Voice
幅広い学びが
世界につながる
noma
高橋 淳一さん
調理師本科(昼1年)/2002年卒業
1983年生まれ。服部学園卒業後、ヌキテパをはじめ、東京都内のいくつかのレストランで修行。nomaの料理に出会い、デンマークに飛び、その料理に感銘を受け、その場で働くことを志願。2011年よりnomaで働き、熱意を認められ現在に至る。
nomaで働くきっかけとは
はじめに修業をしたお店の師匠は、ああしろ、こうしろ、と指示を言葉にしない方でした。最初はとまどいもありましたが、相手が何を要求しているのかを見極めるよい勉強になりました。それを積み重ねていくうちに、言われなくても必要な作業ができるようになっていったんです。何も言われないからといって学ぶことがないわけではなく、その姿勢から学ぶことはたくさんありました。
言葉もままならないままフランスへ修行に飛び立ったという師匠の経歴を知って、自分もいつか海外へ行ってみたいという気持ちが生まれました。当時nomaのことを実は全く知らなかったのですが、あるときnomaの料理を紹介する本に出会ったんです。紹介されている料理はとても美しかった。でも、写真だけでは味や食感が分からない。そこで、これは食べに行くしかない!と思い、友人の料理人とデンマークまで食事に行ってみることにしたんです。
そこで提供された料理に衝撃を受けました。勉強するならここだ!と直感し、その場でオーナー・シェフのレネ・レゼピさんに直訴しました。熱意が認められ、働けることになったときはやはり嬉しかったですね。
基本を身につけることの大切さ
nomaで働き始めてもうすぐ4年が経ちます。nomaの厨房は、アペタイザー、メイン、ソース作り、お菓子、パン、仕込みやまかないなど、いろいろなセクションに分かれているのですが、それらすべてのセクションを月単位のローテーションでまわっています。
服部学園では和・洋・中・製菓・製パンと学べたので、この時の幅広い経験がすごく生きているんです。海外のシェフは、桂剥きなどの日本料理の技術は知らないので、やって見せるとびっくりしますよ!
また、僕はパンの担当者が急にお休みすることになっても対応できます。目指すのは料理人だからと、製菓や製パンをまったく勉強せずに現場に行くのとは、全然違うと感じました。
さらに、服部で受けた衛生の授業も非常に役立っています。衛生の知識は、トップレベルのレストランに行っても、重要事項であることに変わりありません。学生時代はいろいろなことに挑戦して、自分を磨いてください。
海外修行のすすめ
海外に出てみて、日本の良さを再認識することができました。食材の良さはもちろん、日本人のホスピタリティーは特にすばらしいですね。
料理人のスタイルにも違いが現れておもしろいです。日本のレストランでは静かな厨房で黙々と作業をするというイメージですが、nomaでは自分の好きな音楽をかけてテンションを上げながら作業をするんです。仕事に対する姿勢ひとつをとってみても、全然スタイルが違います。
海外に出てみて初めてわかる違いのひとつです。たとえ短期間の渡航でも、良いところも悪いところも含めいろいろなことに気付けるので、今後の自分が進むべき方向を見据えることができると思います。
行動を起こすと人生は変わる!
世界1位のレストランで働きたい、などととらわれずに、自分がここだ! と思うお店に行ってみてください。
それにはまずは行動を起こすことですね。もし海外のお店で働きたいと思ったら、まずは日本を飛び出してみることです。考えているだけではなかなか前へ進めません。友達がいなくても、言葉が多少分からなくても、なんとかなりますよ!
レネの料理はもちろん素晴らしいですが、それだけではありません。部下である僕が意見を言っても、それが理にかなっていれば受け入れてくれるんです。料理はもちろんですが、彼の人への接し方にも僕は影響を受けていると思います。自分の尊敬するシェフと一緒に働ける、こんなに幸せなことはありません。みなさんもぜひ目標を見つけて頑張ってください!