卒業生の声 寺田 真二郎さん
Graduate's Voice
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料理研究家
寺田 真二郎さん
調理師本科卒業(2000年3月)
1983年生まれ、愛知県出身。調理師免許取得後に食品会社に就職、その後カフェ店長などを経て2009年から料理研究家としての活動を開始する。時短テクニックや驚きのアイデアを活かしたレシピを中心に幅広い世代から支持を得る。テレビや雑誌連載、イベント出演、レシピ開発・商品プロデュースなど多方面で活躍している、新進気鋭の若手料理研究家。
寺田さんはどのようなきっかけで料理の道に進もうと思われたのでしょうか?
小学生の頃から料理が好きで、外で遊ぶよりお菓子作りに夢中でした。
元々母が料理好きで家には料理本がたくさんあったし、料理番組を見るのも好きでしたから自然と料理を好きになったんだと思います。実家が家業でお茶の販売をしていたので、常にスタッフの人がいて、その方たちに対して小学3年生の頃にはすでに自分でお菓子を作って食べてもらっていましたね。また小学5年生の頃には友達を集めて料理教室を開き、クッキーやシフォンケーキなどを作っていました。
高校在学中はレストランでバイトをしたり、卒業後は知人の紹介で新規オープンのカフェ立ち上げに一から携わり、レシピを考案したことも。1年ほど、そのカフェの手伝いなどをしていましたが、両親から「何か資格があった方がいいんじゃない?」といわれたことをきっかけに、上京して服部栄養専門学校に進学しました。でも実は上京した本当の理由は、その頃に料理よりも興味のあった「ダンス」を本格的にやりたかったからなんですよ(笑)。
今の料理研究家としての道を歩みだした、ターニングポイントは何だったのでしょうか?
学校の掲示板にアルバイト募集広告があって探していたところ、すでに飲食系のバイトは経験があったので、何か別のことをしたいと思っていました。その時、たまたま「通販番組で映る料理を作る」という、いわゆるフードコーディネーター的な仕事に関する求人を見たんです。ダンスをしていたことからメディアの世界にも興味があり、応募の連絡をしたら即バイトとして仕事をすることに。
商品をおいしく見せるための様々なアレンジ料理を考えたり、商品と一緒に届けるレシピを作成するなど、毎日が新鮮で、初めて働くことを楽しいと感じることができました。その経験があったことで、将来を考えた時に、好きだったダンスよりも、小さい頃から得意だった料理を仕事にしたほうが、自分には向いていると思い、学校卒業後、そのまま会社に就職しました。
料理研究家として活動する中で、当初はどのような目標を持って取り組んでいたのですか?
15年ほど前になりますが、当時は料理研究家といえば女性ばかりの世界で、さらに20代の男性で料理本を出版している人がほとんどいなかったので、そこにチャンスと需要があると思い、会社から独立し、料理研究家の道へ。
最初は全くツテもなく、ほそぼそと料理をブログで公開することから始めましたが、若手の男性料理研究家は、それまでになかったジャンルなので、すぐに珍しがってもらえて、TVや雑誌で特集を組んでいただいたり、そして念願だった料理本を出版することに。
ターニングポイントは、NHKの「きょうの料理」に史上最年少で出演したこと、でしょうか。出演を機に幅広い世代の方に「流行りの料理ではなく、地に足をつけた料理をしている人」と認知してもらえました。こうした一つ一つの実績が確かな自信につながっていきました。
20代から次々と目標を達成してステップアップしてこられた印象がありますが、仕事で直面した壁や、どうやってその壁を乗り越えて長く仕事を続けられるのか。秘訣のようなものはありますか?
料理研究家としての活動当初は、まだ今ほどSNSが活発な時代ではなく、TVに出演することが最大の情報発信のツールでした。とてもありがたいことに、多くのTV出演の機会を頂いていたのですが、僕がよくTVに出演していたのは、お昼の時間帯の情報番組が多く、その時間に働いている方からはなかなか認知されず、それを壁に感じた時期がありました。
でもそうした壁をすぐに乗り越えることは難しく、だからまずは目の前にある一つ一つの仕事に対して、しっかり取り組み続けることが大事だと思いました。徐々にですが、紹介した料理を見た方が夕飯時に作ってくれたりしたことで、番組を見ることができなかった働いているご家族にも知ってもらえる機会が増えていき、少し時間がかかりましたが、いろいろな企業の方から声がかかるようになりました。
今後はどのような活動を続けていきたいと考えていらっしゃいますか?
特に力を入れているのが、全国のショッピングモールや催事などでイベント出演するクッキングショーです。以前ダンスでステージに立ってパフォーマンスした経験を思い出しながら、「またこの人のステージを見てみたい!面白い!楽しい!」と思っていただけるようなものを目指しています。
ただ料理を披露するだけでなく、食材を切っている間、炒めている間、レンジで加熱している間など、ちょっとした間も飽きさせず、料理以外にどのようにお話で楽しませられるかを意識しています。そのために日頃から料理中のトークに使えそうなネタを探して、参加された皆さまが「楽しくてあっという間だった!」と感じていただけるような、そんなステージを心がけています。
実はそう思えた出来事のひとつが、タレントの藤井隆さんの歌手としてのステージを見たことです。歌やダンスに魅了されるのはもちろんのこと、さらにMC、曲の間奏でさえも観客を飽きさせないような工夫がたくさん詰め込まれていて感動しました。
また藤井さんのCDや映像作品にも驚きの楽しい仕掛けがあり、僕自身も料理本などでなにか楽しいことが出来るんじゃないか、と創作意欲が刺激されます。いつかクッキングショーのフェスのようなものができたらいいなと密かに野望を抱いています。
最後に、これから食の世界を目指す若者に向けて、メッセージをお願いします。
年齢を重ねて30代になると、どうしても行動力が鈍くなりがちです。だからこそ瞬発力のある10代、20代のうちに、興味を持ったことはひと通りチャレンジしてほしい。何事もやってみないとわからないので、その選択肢が失敗だったとしても気にせず、次を探せばいい。
興味をもった一つ一つのチャレンジの内容が全く異なるものでも、振り返ってみると実は、繋がっていることがあります。前向きに挑戦していると、必ずチャンスがやってきます。そのチャンスを逃さないためにも、日頃から準備をしておくことが大事ですね!
僕は料理研究家としての活動当初、出演したTV番組側の依頼で、オムレツをよく披露していましたが、専門学校時代に何度も練習していたので、自信を持って披露することができました。きっと色々な経験を重ねることで、自分自身が心から楽しいと思える仕事に出会えると思いますよ。一緒にがんばっていきましょう!
※Career Map(https://www.career-map.biz/home)より転載