卒業生の声 若林 実さん
Graduate's Voice
フランス菓子に携わるなら、フランスを知ること。
文化に敬意を持ち、本物を語れる職人になろう。
ルージュブランシュ
若林 実さん
調理師科昼間部1年制卒(1984年3月)
1964年東京都大田区生まれ。卒業後、成城「マルメゾン」での修業を経て、横浜みなとみらいのデパート内に「ルージュブランシュ」をオープンさせ、人気を得る。その後、デパートの閉店にともない、一度店を閉じるも、2001年、田園調布に店を移転し、現在に至る。
小さいころから食に興味があった若林シェフは、服部学園入学後、興味を持った製菓の道へ。情報収集が大事、と言うシェフは、忙しい合間を縫ってあらゆるメディアから自分に必要な情報を収集、選択し、日々その知識を進化させている。そんな若林シェフに、若き菓子職人たちへのメッセージをうかがった。
原点は“食”が好き
子供のころには身体が大きくスポーツもしていたのですが、料理や手芸などの女の子のすることにも興味がありました。
母は料理が得意な人で、皮から餃子を作ったり、ねぎを上手に切ったりする姿がかっこ良く見え、憧れましたね。母のまねをして、チャーハンを作ったり、パスタを作ったりしていました。今でも餃子は上手に包めますよ(笑)。
常に夢の一つとして料理人があり、服部学園に進みました。
選択したのは製菓の道
服部学園では1年間で、和・洋・中・製菓製パン・集団給食について学べます。
1年間で5種類も学びましたが、その中で一番おもしろいと感じたのが、製菓でした。なかなか本格的なお菓子を家で作る機会は少ないので、学校でやってみて楽しかったんです。
当初は、フランス料理をやろうと思っていたのですが、授業を受けているうちに、ケーキがおもしろいな、と気付いたんですね。
学園祭の製菓選抜に先生から指名して頂いたことで、自分の中でやる気がどんどん大きくなっていった、ということもありました。
帰宅後、復習として授業で習ったシュークリームを焼いたり、麻婆豆腐やビシソワーズなどを作っていました。母に自慢したい気持ちもありましたね。
あのとき復習したからこそ、今でも覚えているのだと思います。
服部学園での大切な出会い
学生生活は授業だけではなく、いろいろな行事があり、学生同士一致団結して楽しかったことを今でも覚えています。
忘れられない思い出は、日本料理の先生と京都へ行ったときのこと。せっかく京都に行くので、一流の日本料理店へ行こうという話になりました。その時に、「ネクタイ持参」と言われたんです。
身だしなみを整えることは「作ってくれた人への礼儀だ」ということでした。この時からずっと身だしなみに強く意識を払っているんです。
同級生だけではなく、業界の先輩でもある先生方にも恵まれていて、料理以外の社会常識も学ぶことができました。だから、私も先輩から伝えられたことは次世代に伝えて、つなげていきたいと思っています。
フランス菓子に携わる礼儀
私は服部学園で講師をするときに、テレビのフランス語講座を見るようにしなさいと言っています。 現地へ行ったときや現場に出たときに必要になることはもちろんですが、何よりも私たちはフランス菓子を作っているんですから、フランス語の習得、フランスについての知識の習得は、フランス菓子に携わる以上、当然の礼儀だと思っています。
情報収集が大事
私は普段からテレビや新聞、雑誌などから、常に「食」に関する情報を収集しています。
先日もテレビで得た情報をきっかけに、オーブンで作っていたプリンを圧力鍋で作るように変更したんです。実はその方が効率がいいんです。テレビなどの身近な情報源から学び、調理法を進化させていくことも結構あります。
現在はパソコンや携帯電話などから、有名なシェフの経歴だって、レシピだってすぐに知ることができます。昔は、専門書を買うのもフランスへ修業に行くのも、大変なことでした。 それに比べて現在は、先人が残してくれた軌跡を“検索”して、あっという間に情報を得られてしまうんですから、すごく便利ですよね。
それだけに、自分なりに情報を得て、しっかりと吸収した人だけがどんどん先に進めます。
新しい情報を知らなければ、現状のままでいいと思い、置いていかれます。その結果、差ができてしまうんです。今こうしている間だって、誰かが自分より進んでいるかもしれませんよ!
情報集めを継続していくことが、大事なのだと私は思います。