卒業生の声 山口 卓也さん
Graduate's Voice
基礎を磨いて本場へ羽ばたく。
本場に渡らなければ知り得ないことがある。
ルヴェ ソン ヴェール本郷 シェフ
山口 卓也さん
調理師科卒業(2004年3月)
1984年群馬県吾妻郡六合村(現中之条町)生まれ。卒業後、代官山「マダム・トキ」で修業後、渡仏。1年3か月の間に2店舗で修業し、経験を積む。帰国後は、浅草「オマージュ」、「グランドハイアット東京」でさらに腕を磨き、2015年より、「ルヴェ ソン ヴェール本郷」のシェフに就任。現在に至る。
東京大学の正門にほど近いフレンチ・レストラン「ルヴェ ソン ヴェール本郷」。シェフの山口さんは、修業時代、フレンチの基礎をしっかり身につけてから本場フランスへと渡った。そこには明確な理由があった。
食に興味を持ったきっかけは。
草津温泉にほど近い、群馬県吾妻郡の六合村で生まれ育ちました。通学途中に山菜を採ったりできるような、自然に恵まれた田舎です。
祖父母は農業をしており、畑で収穫した野菜をゆでたり、山で採ってきた山菜を調理したりと、自然と料理が身近な環境でした。料理上手な祖母と一緒に料理をし、食堂を営んでいた父の影響で小さなころから料理に興味を持ち、料理人を目指すようになりました。大人になってから、小学校の卒業文集を見返したら「将来は料理人になりたい」と書いてありました。
なぜ服部栄養専門学校を選んだのでしょうか。
高校卒業後、料理人になるための進路を検討していた際に、いろいろな食材が集まる東京で勉強したいと考えました。東京にはいくつか調理師学校がありますが、服部学園を選んだ決め手は、和・洋・中・製菓製パンまで全分野を勉強できることでした。在学中に幅広い知識を習得できるところに特に魅かれました。
「食」への幅広い視野は大切なことですよね。
入学して全般的に学んでみて、フランス料理の道へ進みたいと思うようになりました。服部学園には、一流シェフが講師を務めるマスターコースがあります。その講義を受講して、ハイレベルな調理技術を目の当たりにし、とても貴重な体験になりました。学生の身分では有名店に行くのは金銭的になかなか難しいですが、学校内にいながら質の高い料理に触れることができました。この授業で試食した料理に感銘を受け、より実習に力が入りました。
服部学園でもっとも心に残っていることは何ですか。
一番の思い出は、研修旅行ですね。2週間かけてイタリアからフランスを通ってイギリスまで、毎日のようにレストランめぐりをして、本物の味に触れることができ、本当に貴重な経験でした。本場との格の違いをまざまざと見せつけられました。三ツ星レストランの雰囲気は、学生の自分には分不相応なのではと感じましたが、フルコース料理に合わせたワインやパン、最高のサービスは、今でも忘れることができません。
服部学園卒業後の進路について教えてください
渡仏する前に、日本のクラシックなフレンチの店で基礎を習得したい考え、日本で約4年半修業しました。最初の店で、サービス、洗い場、前菜、スープ、ポワソン、ヴィアンド、デザートなど、すべてのポジションを一通り経験しました。
ある程度経験を積んでから渡仏した方が、実際に日本とフランスの違いを比べることができ、経験のないポジションを任されて慌てるということもありません。私の経験では、日本である程度学んでから渡仏しても遅くはないと思います。
渡航前は現地に溶け込めるか心配でしたが、実際に出会ったフランスの人々は、みなフレンドリーでした。現地の人々と触れ合ったからこそ、理解できたフランスの空気があります。言葉にするのが難しい、感覚的な部分も、本場でしか味わえないものなのかもしれません。
今後についてはどのようなビジョンをお持ちですか。
将来、地元草津の温泉街にお店を出すという目標があります。その目標を見据えた時に、その前に何をしたらいいのか逆算して、目標に到達するための道順を検討しながら、ここまでやってきました。
最後に、後輩達へのメッセージをお願いします。
明確な目標を持つことが大切です。在学中に何をしなければいけないのかということが見えてきます。同じ授業を受けていても、学ぶ姿勢次第で吸収できるものは全然違ってくる。服部学園にはすばらしい先生方がたくさんいらっしゃるので、そのメリットを最大限に生かし、吸収できるものはたくさん吸収してください。それは将来きっと自分の役に立ちます。
それから同じ目標を持った学生時代の友人は財産になります。同じ話題を共有できるし、時には良きライバルとなる。服部学園には地方出身者も多くいるので、ネットワークが広がります。友人と切磋琢磨しながら、自分の夢をかなえるために、目標を持って頑張ってください!